ケーススタディー
財産の相続における遺言の基本と効果 遺族が行う手続きガイド⑥
少子高齢化が進む現代の日本では「相続」と「遺言」への関心が高まっています。
財産の相続手続きに大きな影響を与える遺言。
こちらでは、遺産相続の手続きにおける遺言について、遺し方やその効果などをご紹介いたします。
遺言を残す人も受け取った人も知っておきたい「遺言の基本」
亡くなった方が遺言を残していた場合は、原則として遺言の内容に従って相続手続きを行うことになります。
遺言を残すメリットは、自分が残す財産をどう扱ってもらうかという意思を相続に反映させることができるだけでなく、相続人同士や親族間の遺産を巡る争いを防ぐことができることです。
被相続人は遺言によって、法定相続分とは違う割合で相続をさせたり、遺贈という方法で相続人以外の人に財産を残すといった遺産分割方法の指定ができるだけでなく、遺言の内容を実現させる人(遺言執行者)を指定することもできます。
法律(民法)で定められた遺言でできることを知り、先に去る者の責任として、親族全員を平穏に導くための保険となる遺言を残しましょう。
◆代表的な遺言事項(遺言でできること)◆
①認知(民法781条2項)
②廃除・廃除の取消し(民法893条・894条2項)
③祭祀財産の承継者の指定(民法897条1項)
④相続分の指定・指定の委託(民法902条)
⑤遺産分割方法の指定・指定の委託(民法908条)
⑥遺贈(民法964条)
⑦遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条)
遺言には、法律上の効果が認められる代表的な「自筆証明遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」という3つの形式のほかに、特別方式遺言と呼ばれる「一般危急時遺言」などがあります。
それぞれの遺言において、法律(民法)で定められた要件を満たしていないと具体的な相続手続きができませんので、特性や様式を知っておくということは重要であるといえます。
「公正証書遺言」以外の遺言の場合には、相続開始後、家庭裁判所において検認という手続きをしなければいけませんので、相続人になる人も遺言の特徴を知っておくことは大切です。
一般には自分で手軽に作成できる「自筆証書遺言」が普及していますが、財産が大きい場合や、確実に遺言を実施させたい場合は「公正証書遺言」が使用されることが多い傾向にあります。
法律(民法)上の規定に沿った遺言の作成形式が守られていないと、その遺言は「無効」となってしまうことがあります。
財産を引き継ぐための準備は、遺言の目的や効力を損なうことがないように注意しましょう。
遺言の代表的な形式や書き方についてくわしくはコチラをご覧ください。
◆エンディングノートと遺言の違い◆
遺言との最大の違いは、エンディングノートには法的な効力がないということです。
エンディングノートとは、万が一の場合に備えて自分のことや財産のこと、延命処置の内容や葬儀の希望など、家族に伝えたいメッセージを書き記すノートです。
法的な効力はありませんが、認知症や重大な病気などで自分の意志を伝えることができなくなった時に、思いを伝えることができる役割を果たしてくれます。
遺言書でも付言事項としてメッセージを残すことができますので、エンディングノートは必ず残さなければいけないということはありませんが、生前整理や終活の一環として気軽に取り入れてみるのも良いでしょう。
遺言の形式によるメリット・デメリットやよくある疑問について、くわしくはコチラもあわせてご覧ください。
遺言を探す時に知っておきたい!公証役場の「遺言検索システム」
遺言があることを知らされていなかった場合、相続人は遺言があるかないかを調べ、探し出すことからはじめます。
遺言の存在を知らされていない場合でも、遺言が残されているということは考えられます。
自宅や病院、入所していた施設の大切なものを保管していそうな場所などを探してみましょう。
貸金庫の契約をしている場合は、貸金庫内に遺言が残されていることもあります。
「公正証書遺言」の形式で遺言を残していた場合は、作成をした公証役場に原本が保管されています。
最寄りの公証役場に出向き、遺言検索を行うことで、遺言があるかどうかを確認することができます。(昭和64年1月1日以降に作成された公正証書遺言につき。)
なお、遺言検索を行う場合には、遺言を残した方が亡くなったことの確認できる除籍謄本と、遺言検索を行う方が相続人であるということを確認できる戸籍謄本などの書類が必要となります。
遺言はありますか?知っておきたい遺言の検索システムと検認手続もあわせてご覧ください。
見つけた遺言は種類によって検認の手続が必要かもしれません。
公正証書遺言以外の遺言の場合は、家庭裁判所での検認という手続きが必要になります。
検認とは、相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言の形状や状態、日付や署名など検認の日現在における遺言の内容を明確にして、偽造・変造を防止するための手続きです。
「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」などの形式で遺言が残されていた場合、その遺言を保管していた人や発見した相続人は、家庭裁判所に遺言を提出して検認の手続きをしなければなりません。
検認の手続きが終了すると、遺言に検認済み証明書を添付したものが交付されます。
公正証書遺言以外の遺言によって相続の手続きを行うには、この検認済み証明書が添付された遺言が必要になるのです。
なお、遺言を見つけた場合、公正証書遺言以外の遺言に関しては、家庭裁判所による遺言の検認を受けない限り、勝手に開封してはいけないことになっています。
もし、自筆証書遺言や秘密証書遺言などを勝手に開封してしまった場合、民法1004条によって、5万円以下の過料が課せられることになりますので、注意が必要しましょう。
また、この検認手続きにおいては、遺言の具体的な内容や形式の有効性が判断されるわけでありません。
そのため、遺言の文言に問題がある場合などは、たとえ検認手続きが済んでいても、遺言の効力自体が否定され、実際の相続手続きには使用できないという可能性もあります。
◆検認手続きの一般的な流れ◆
被相続人(遺言者)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ遺言書検認の申立てを行う。
↓
家庭裁判所から相続人に検認期日が通知されます。
↓
家庭裁判所で相続人が立合いのもと遺言書を開封し、検認が行われます。
↓
検認済み証明書申請を行い、検認済み証明書付きの遺言を受領します。
※遺言は検認期日に持参するのが一般的な実務上の取扱いです。
遺言の検認手続きの申立方法について、くわしくはコチラをご覧ください。
法定相続人に保障されている財産の遺留分を知っておきましょう!
遺言によって、法定相続分とは違う割合で相続することになったり、相続人以外の人に遺贈する場合、法定相続分を侵害された法定相続人は、財産を取り戻すことはできないのでしょうか・・・?
兄弟姉妹以外の一定の条件を満たす法定相続人に対しては、遺言の内容に関係なく民法で保障された「最低限相続できる権利」がみとめられています。
民法1028条により、「法定相続人は相続財産のうちで一定の相続分を自己のために確保することができる。」と定められており、この権利のことを「遺留分」と言います。
この遺留分を請求できる人のことを遺留分権利者といい、遺留分を請求する権利のことを遺留分減殺請求といいます。
遺留分権利者である「配偶者・子・直系尊属」は、遺留分を侵害している人に対して、遺留分減殺請求をすることによって相続分を確保することができます。
なお、相続欠格者や相続を廃除された人や、相続を放棄した人は遺留分権利者とはなりませんので注意が必要です。
遺留分を実際に行使するためには、決められた期限内に遺留分減殺請求をしなければなりません。
遺留分減殺請求は、相続開始および減殺すべき贈与または遺贈のあったことを知ったときから1年経過するか、相続開始のときから10年経過したときは行うことができなくなるので注意が必要です。
請求のしかたについては特別な方法や手続きはありませんが、合意書などを交わし、支払いの約束について書面化しておくことは後日トラブルを引き起こさないためにも重要といえます。
また、遺留分減殺請求権を行使したことを証明できるように、配達証明付きの内容証明郵便で送付すると良いでしょう。
故人の遺言や贈与について理解し、故人の想いを尊重するのであれば、遺留分を放棄することができます。
この「遺留分の放棄」について、相続開始後(被相続人の死後)はあらためて手続きをする必要はなく、相続開始前であれば、家庭裁判所の許可を得た場合に限り、生前に行うことも可能です。
遺留分の割合や遺留分減殺請求書の例についてコチラもあわせてご覧ください。
財産の相続とは何か?知っておきたい遺産相続の基本知識をこちらでもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
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