ケーススタディー
金融機関での相続手続の基本と流れ 遺族が行う手続きガイド⑫
名義変更や解約など相続する財産に応じて具体的な手続は多岐にわたります。
こちらでは、故人が遺してくれた大切な遺産を相続するために必要な手続の中から、代表的な遺産の相続・名義変更手続をご紹介いたします。
銀行など金融機関での相続手続
相続手続の中でももっとも代表的なもののひとつである金融機関での手続。
ほとんどの方が銀行や信用金庫などに口座を持っています。
金融機関との間で何らかの取引を行っている人に相続が発生したときは、その金融機関所定の相続手続を行う必要があります。
①金融機関への連絡
まずは相続発生の事実を電話などで各金融機関に伝えましょう。
これにより口座が凍結され、入出金等ができなくなります。
口座振替で支払いをしているものについては、相続人名義の口座から支払いに変更するなど、別の方法での支払いに切り替えなくてはなりません。
②残高証明の開示と照会請求
亡くなった方が金融機関のカードや通帳、郵便物などを残していた場合は、その金融機関の窓口で確認し、必要に応じて残高証明の請求をしてみましょう。
残高証明の開示請求は、相続人全員で行う必要はなく、相続人の1人から行うことができます。
③所定の届出用紙の受取
手続の際は各金融機関で所定の届出用紙の提出を求められることが多いです。
まずは窓口、あるいは郵送で所定の用紙など必要な書類を受け取っておくとその後の手続がスムーズに進められます。
④必要な書類の収集
金融機関に求められた戸籍謄本などや印鑑証明書などの書類の収集を行いましょう。
必要な書類に関しては、金融機関から所定の用紙とともに案内があることが一般的です。
併せて金融機関所定の用紙(相続届など)への署名・捺印作業も行いましょう。
⑤相続届など必要書類の提出
金融機関に所定の用紙や集めた書類一式を提出しましょう。
書類に不備がなければ、金融機関側の処理を持って払い戻しを受けることができます(金融機関によっては、提出後、数週間かかることもあります)。
書類の提出は口座のある支店に行いますが、どの支店でも手続可能としている金融機関もありますので、連絡段階で確認しておくといいでしょう。
提出書類は、遺言がない場合とある場合で必要なものも異なります。
◆遺言がない場合の提出書類◆
・ 相続届
・ 相続関係を証する戸籍謄本など
・ 相続人全員の印鑑証明書
・ 協議が成立している場合は、遺産分割協議書 など
◆遺言がある場合の提出書類◆
・ 相続届
・ 遺言書
・ 相続関係を証する戸籍謄本など
・ 払い戻しを受ける方の印鑑証明書など
身分証明書・通帳・カード・貸金庫の鍵などは共通して必要なものとしてあげられます。
複数の金融機関と取引をしている形跡がある場合は、最初に全ての金融機関に連絡し、所定の用紙を受けとっておき、必要書類を確認しておきましょう。
相続人全員の署名・捺印が必要なものをすべてそろえておけば、まとめて手配・処理ができ、二度手間、三度手間を防ぐことができます。
ゆうちょ銀行での相続手続はどうすればいいの?
全国に窓口のあるゆうちょ銀行に口座をお持ちの方も多いと思います。
基本的には他の金融機関と同様の流れで行われています。
まず最寄りのゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口で「相続確認表」を受け取りましょう。
相続確認表は、ゆうちょ銀行のホームページからもダウンロードできます。
相続確認表を提出すると、事務センターで処理された後「必要書類のご案内」が、原則として代表相続人に送られてきます。
「必要書類のご案内」には、必要書類が一覧になって記載されていますので、戸籍謄本や印鑑証明書など記載されている書類を手配し、相続人などが署名押印した「相続手続請求書」とともに、原則として相続確認表を提出したゆうちょ銀行窓口に提出します。
払戻しの場合は「払い戻しにかかる払戻証書」、名義書換の場合は「名義書換済みの通帳」などが貯金事務センターから送られてきます。
払戻しの場合は、最寄りのゆうちょ銀行窓口に払戻証書を持参し手続を行います。
各金融機関での手続は、金融機関ごとに異なることもあり、時間がかかる場合もあります。
必要書類に不足や不備がないかを確認をし、わからないことがあれば電話や窓口で相談しましょう。
相続人の代わりに代理人が手続を行う場合
相続人全員で手続を行わない場合や、相続人が高齢で体が不自由であるなどの理由から、相続人以外の方が相続人に代わって預貯金などの相続に関する手続を行いたい場合は、委任状など所定の書類を用意しなくてはなりません。
金融機関によっては相続手続についての説明がホームページでされていたり、委任状がダウンロードができるところもありますが、必要な書類や委任状への記載事項は各金融機関によって異なりますので確認が必要です。
たとえ親族であっても、委任を受けていないにもかかわらず無断で委任状を作成してしまうのは犯罪になりますので注意しましょう。
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