親や配偶者など身近な家族が亡くなられた後、どこで、どのような届出や手続きを行えばよいのでしょうか。
また、葬儀までの流れはどのようになっているのか、みなさんはご存知でしょうか・・・?
家族が亡くなった時、遺族は何から始めればいいのでしょうか?
死亡後の手続きは多様にあり、届出までに期限が限られていることもあります。
慌ただしく行わなければならない葬儀や法要などの手配や準備と併せて、残された方々は様々な手続きや届出をしなければならないことになります。
それらの中には期限が定められている手続きも多くございますが、「期限が決まっていることを知らなかった」という理由で済まされることではないのです。
ほとんどの方が当事者になり得る可能性がある、死後に必要な手続きや届出。
あまり積極的に考えたくなかったり、後回しにしたい内容でもあるかと思います。
しかし、いざという時になってはじめて、その種類の多さや煩雑さに頭を悩ませ、悲しむ時間もないまま途方に暮れる・・・ということは避けたいものです。
「葬儀」や「法要」のこと、「保険」や「年金」のこと、「相続手続き」のこと、「預貯金の名義変更」のこと、「相続税」のこと・・・。
これら、多岐にわたる家族の死亡直後からはじまる、重要な手続きや届出。
実際にこのような場面に向き合うその前に、必要な手続きを知っておき、「何を急いでやらねばならないのか」、また「落ち着いてからでもできることは何なのか」を、慌てることなく、考えることができるようにしておきませんか?
「臨終」から「葬儀」までに行う手続きや届出
家族の死亡から2週間以内に終わらせなければならないことがあります。
手続・届出の中には期限が定められているものがございます。
それらは、葬儀などの手配や準備をしている中で、同時に行うことになりますので、死後、早急に行う手続きや届出をこちらで確認しておきましょう。
◆死亡後、すみやかに行う必要がある手続・届出◆
①死亡診断書・死体検案書の手配
②年金受給停止の手続
◆死亡から7日以内に必要な手続・届出◆
①死亡届の提出
②火葬許可申請書の提出(死亡届の提出と同時)
◆死亡から14日以内に必要な手続・届出◆
①世帯主変更届の提出
②健康保険証の返却・資格喪失届の提出(国民健康保険の場合)
大切なご家族を亡くしたあと、2週間以内にこれだけの手続きを行わなければなりません。
それぞれに期限も異なり、必要な書類も様々ですので、前もって把握しておくことで、いざという時に混乱することなく、行動に移すことができるのではないでしょうか?
死亡後、すみやかに行う必要がある「死亡診断書・死体検案書」の手配
家族が臨終となったとき、まず最初にするべきことは「死亡診断書・死体検案書」をもらうことです。
「死亡診断書・死体検案書」とは、共に医学的、法律的に「人が死亡したことを証明する書類」のことです。
多くの場合、臨終に立ち会った医師や、死亡を確認した医師から「死亡診断書」を交付してもらうことになり、診療にかかっていた病気以外の理由により亡くなられたときは、「死体検案書」を交付してもらいます。
万が一、上記の用紙を自分で準備することになった場合は、市区町村役場の戸籍係や、葬儀会社に置いてありますので、必要があれば取りに行きましょう。
書面の様式は「死亡届」と同じ1枚の用紙になっており、死亡時刻や場所、死因などを記す欄があります。
この「死亡診断書・死体検案書」がなければ、「死亡届」を提出することも、「火葬許可書」の交付をしてもらうこともできません。
また、保険金を請求する際にも必要になる重要な書類です。
以降の様々な手続きにおいても、提出を求められることがありますので、コピーを何枚か取っておくといいかもしれませんね。
死亡から7日以内に必要な「死亡届」の提出
「死亡届」は「死亡診断書・死体検案書」の手配ができ次第、
「火葬許可申請書」とあわせて一緒に提出するのが、通常の流れとなっております。
提出先は、故人の死亡地か本籍地、または届出をする人の所在地いずれかの市区町村役場窓口です。
用紙は、市区町村役場で入手することができますが、こちらも多くの場合、病院に用意されており、死亡を確認する医師、または葬儀会社の担当者が準備してくれます。
「死亡届」を提出する場合には、親族や同居人、家主や地主、または任意後見人など、条件に限られた人の中から、亡くなった方の代わりに署名や押印をする「届出人」を立てます。
提出期限については、死亡した場所が国内か、国外なのかぼ場合によって異なります。
国外で死亡した場合は、「死亡の事実を知った日から7日以内(7日目が休日の場合はその翌日まで)」に、国外で亡くなられたときは、「死亡の事実を知った日から3ヵ月以内」に提出なりません。
該当する状況に従い、提出までの期限を把握しておきましょう。
「死亡届」を市区町村役場に提出することにより、「死亡届記載事項証明書」や、「火葬許可証」を交付してもらうことができます。
火葬をするために必要な、許可証の受取りに必要な届出となりますので、指定されている期間内において、可能な限りすみやかに提出するようにしましょう。
死亡から7日以内に必要な「火葬許可申請書」の提出
「火葬許可申請書」とは、「火葬許可証」を交付してもらうために必要な申請書です。
「火葬許可申請書」は、原則として、死亡から7日以内に「死亡届」と同時に届出を行う必要があります。
市区町村役場で手続きの処理が終わると、「火葬許可書」が交付されることになります。
この火葬許可証がなければ、火葬場で遺体の火葬を受け付けることができないと法律で義務付けられています。
なお、特定の疾病や感染症が原因の死亡の場合は別ですが、それ以外の死亡の場合、墓地、埋葬等に関する法律第3条により、「火葬は死後24時間を経過した後でなければ、行うことができない」と定められております。
また、多くの火葬場は友引がお休みとなっておりますので、日程調整をするにあたり、こちらも考慮に入れておきましょう。
火葬が行われると、「火葬許可証」に火葬日時が記入され「火葬済」と押印された用紙を受取ります。
これを納骨する墓地・霊園に提出します。
「火葬済」と押印された火葬許可証は同時に埋葬許可証となります。
『火葬許可書』と同様に、この「埋葬許可証」がなければ、納骨を受け付けてもらうことができません。
臨終から納骨まで、喪主と遺族が行う一般的な流れ
通夜や葬儀、納骨・・・。
大切な家族が旅立たれたその瞬間から、前述の手続きと同時に、これらの手配を限られた時間の中で行う必要がございます。
突然あなたが喪主・遺族となった時に、慌てず、滞りなく家族を見送ることができるようにしたいですよね。
そのためにも、臨終から納骨に至るまでの日本の主流な仏式の大まかな流れをあらかじめ把握しておくと安心です。
故人や遺族が望む葬儀を執り行うために、葬儀の事前相談や生前予約をしておくことも良いかもしれません。
①臨終
入院先でご逝去された場合は、医師から死亡の事実を告げられます。
自宅で危篤またはご逝去された場合は、かかりつけの医師に来てもらうか、救急車を呼び、医師による死亡の確認を行います。
特に持病がなく、突然死や事故などの場合は、すみやかに警察に連絡しましょう。
親族などには、この時点で連絡することが一般的ですね。
菩薩寺(先祖代々のお墓のあるお寺のこと)がある場合は、なるべく早めに連絡をいておくとよいでしょう。
②遺体の搬送
病院で亡くなった場合は、霊安室に安置されます。
病院からは速やかな搬送が求められますので、自宅など安置所への搬送の手配をしなければなりませんので、葬儀社に連絡し、配送の手配をしましょう。
なお、その後の葬儀などを依頼する葬儀社をその場で決められない場合は、ひとまず搬送のみを依頼します。
一般的には、搬送までの間に退院手続(入院費用の精算など)を行い、医師に「死亡診断書・死体検案書」を作成してもらいます。
③葬儀などの打ち合わせ
安置が済みましたら、葬儀社と「通夜」や「葬儀・告別式」についての具体的な打ち合わせを行います。
喪主や世話役などを決め、日時や斎場、式の内容などを決めていきます。
葬儀・告別式の概要が決まりましたら、勤務先や関係者、近隣の方などにも連絡をします。
④通夜
通夜とは「夜伽(よとぎ)」とも言われ、本来、親族など亡くなられた方と関係の深かった方のみが集まり、葬儀の前に一夜を通して故人を見守り、お別れを惜しむ会のことでした。
最近では、「仮通夜」と「本通夜」に分け、本来の通夜は仮通夜として行い、友人や知人などの弔問を本通夜で受けるという形式が増えております。
また、夜通しではなく1~2時間程度で行う「半通夜」も増えています。
⑤葬儀・告別式
現在では、ほとんどの場合が葬儀と告別式を同時に行いますが、本来は別々のものです。
一般的に、葬儀とは「亡くなった方を送り出す宗教的儀式」のことで、告別式は「友人や知人なども含めた会葬者が、亡くなられた方とのお別れをする儀式」のことをいいます。
ただし、宗旨や宗派によって違いがあり、それぞれの宗旨や宗派で葬儀・告別式の方法も異なります。
葬儀・告別式を終えたら出棺し、火葬場にて火葬を行います。
火葬の際には「火葬許可証」が必要になります。
火葬を終えたら「骨上げ・拾骨」を行い、火葬場から「火葬済」と押印された「火葬許可証(埋葬許可証)」を交付してもらいます。
その後、「遺骨迎え・精進落とし」を行います。
⑥納骨
仏式では、初七日から四十九日あたりで納骨を行います。
納骨の時期について、特に期限があるわけではありませんが、遅くとも一周忌あたりまでに行うことが多いようです。
お墓がない場合は、お墓の購入も検討する必要があります。
また、お墓を管理する親族などがいない場合は、お寺や霊園が永代にわたって供養を管理を行う「永代供養」という方法もございます。
多様化する葬式の種類。故人や家族の思いによっても葬儀のカタチは様々です。
このような一般的な通夜、葬儀・告別式という形式以外にも、家族葬や密葬といった様々な形がございます。
近年では、故人の遺志などによって、通夜や葬儀・告別式を行わず、火葬のみを行う直葬という方法など、小規模化や多様化も進んでおります。
もちろん、費用や時間的な面での事情なども様々ございますが、それぞれのメリットやデメリットも知っておくことはとても大切です。
自分や、自分の家族の価値観と照らし合わし、充分に相談をして、大事な方々との最後のお別れのカタチを選びましょう。
そのためにも、普段から家族とコミュニケーションをとり、生前整理や終活を通して、遺言やエンディングノートなどに自分が望む最期の時間を遺しておくことは、家族のためにも、自分のためにも重要なことかもしれませんね。
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