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落ち着いてからでも間に合う死去後の届出や手続き 遺族が行う手続きガイド④

大切な人が亡くなった後、しなければいけない手続き・届出の種類や方法を知っておくことは大切です。

 

それらには急ぐ必要がなくても、期限が定められている手続きや届出があります。

 

明確な期限がなくても、放っておくと生活に大きな影響を及ぼすことがありますので、なるべく早いうちに済ませておくと安心です。

 

期限が決められていない公共料金やサービス契約の手続きや届出

 

公共料金やスマートフォンの解約や契約者の変更、運転免許証の返納などは、手続きや届出の期限は決まっていませんが、なるべくすみやかに行ったほうが良いでしょう。

 

大切な人が亡くなった後、早急にしなければいけない死亡届の提出火葬許可申請の他にも、必要な手続きや届出があります。

 

たとえば、銀行が亡くなった人の口座を凍結してしまった場合には、ガスや水道、電気といった公共料金などの自動引き落としができなくなってしまいます。

 

公共料金や故人が受けていたサービスを解約する場合は、発生する費用などの兼ね合いがありますので、期限の定めはないと言っても、なるべくすみやかに手続き・届出を行ったほうが良いと言えますよね。

 

これまで支払っていたものを確認する方法としては、故人の通帳で定期的な自動引き落としがないかを確認したり、支払い明細、領収書や請求書といった郵便物をチェックする方法がわかりやすく、一般的です。

 

◆期限が定められていない手続きの例◆

 

◎電気・ガス・水道の変更、または解約・・・契約者変更手続き、または解約の手続きが必要です。各契約先のサービスセンターなどに連絡し、必要書類を送ってもらいましょう。

 

◎スマートフォン・携帯電話の解約・・・契約している各通信事業者の窓口へ、除籍謄本など死亡の事実が確認できる書類を持参し、解約手続きを行います。

 

◎インターネットプロバイダーの解約・・・電話やインターネットで解約手続きが可能な場合がありますので、早めに確認しましょう。

 

◎NTT固定電話の相続・・・電話加入権という財産を相続するための手続きが必要です。戸籍謄本などを添付すれば、郵送でも相続手続きが可能です。

 

◎運転免許証の返納・・・警察署などの窓口へ死亡の事実が確認できる書類を持参し、返納手続きを行います。(※更新手続きを行わなければ、自動的に失効することになります。)

 

◎パスポートの届出・・・故人のパスポートと、死亡した事実が確認できる書類を持参し、最寄りのパスポートセンターに届け出ます。

 

◎クレジットカードの解約・・・解約手続きの方法は、クレジットカード会社によって異なりますので、各契約先への確認が必要となります。なお、カードを解約しても、故人が使用したカードの未払金は、原則として相続人が支払わなければなりません。

 

落ち着いてからでも間に合う死去後の届出や手続きについて、コチラもあわせてご覧ください。

 

 

故人の所得税申告は相続開始の翌日から4か月以内に行いましょう。

 

故人の所得税の申告や事業を引き継ぐ手続きは、「死亡後、何日までに行わなければならない」という期限が定められています。

 

亡くなった人も、1月1日から亡くなった日までの確定申告の手続きは必要です。

 

相続税の申告より先に、故人の所得税の申告や納税が必要になる場合もありますので注意しましょう。

 

確定申告の必要な人(被相続人)が年の途中で亡くなった場合、その故人は自分で確定申告を行うことはできませんので、相続人や包括受遺者(遺贈によって財産を受ける人)が故人に代わって所得税の準確定申告を行います。

 

準確定申告では、亡くなった年分(1月1日から死亡した日まで)の申告を行うことになります。

 

申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

 

通常、次の場合に準確定申告が必要となりますので、故人が該当するか確認しましょう。

 

◎個人で事業(自営)を行っていた人

 

◎貸付金の利子収入や家賃などの不動産収入を受け取っていた人

 

◎公的年金を受給していた人や、医療費控除の対象となる多額の医療費を支払っていて、準確定申告をすることになり所得税の還付を受けられる場合

 

◎2か所以上から給与を受けていた人

 

◎給与収入が2000万円を超えていた人

 

◎給与所得や退職所得以外の所得が合計で20万円以上あった場合

 

◎給与や退職金以外の所得がある

 

※公的年金などによる収入が400万円以下で、他の所得も20万円以下しかない場合、確定申告は不要です。

 

故人の所得税申告について、くわしくはコチラをご覧ください。

 

 

葬儀費や埋葬料(埋葬費)の給付申請は葬儀から2年以内に!

 

亡くなった方が公的保険(国民健康保険・健康保険)の加入者であれば、所得の多い少ないに関係なく申請できるのが葬祭費・埋葬料(埋葬費)の給付金です。

 

故人が20歳以上の方であれば、いずれかの公的保険に加入しているはずですので、葬祭費・埋葬料(埋葬費)の受給権利が得られます。

 

葬祭費や埋葬料(埋葬費)は、喪主など葬儀を執り行った人が受け取ることができます。

 

故人が加入している保険の種類によって手続きの方法や具体的な支給額は異なりますが、いずれも申請期間は葬儀を執り行った日の翌日から2年と時効が決められています。

 

葬祭費と埋葬料(埋葬費)の違いは、簡潔にいうと、亡くなった方が加入していた健康保険によって名称が違うというだけのことです。

 

亡くなった方が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合に支給されるのが葬祭です。

 

一般的には国民健康保険加入の場合は5~7万円、後期高齢者医療制度加入の場合は3~7万円が支給されることになります。

 

亡くなった方が会社員などで協会けんぽや健康保険組合に加入していた場合に支給されるのが埋葬料または埋葬費です。

 

埋葬を行い、故人に生計を維持されていた方には埋葬料として定額5万円が支給されます。

 

埋葬料の支給対象者がいない場合は、実際に埋葬を行った人に支給される埋葬費として、埋葬料の定額5万円の上限内で、埋葬にかかった費用の実費額(霊柩車代、火葬料、葬壇一式料など)が支給されることになります。

 

葬祭費や埋葬料(埋葬費)は、実際に行われた葬儀や埋葬に対して支払われますので、葬儀や埋葬を行っていない場合は、もちろん支給を受けることはできません。

 

葬祭費や埋葬料(埋葬費)の申請で受けられる給付は決して侮れない額です。

 

失念していたなどの理由に問わず申請期限には限りがあり、時効が過ぎてしまうと手続きを行うことができなくなりますので、忘れないようにしましょう。

 

葬儀費や埋葬料(埋葬費)の給付制度と申請方法について、くわしくはコチラもあわせてご覧ください。

 

 

高額療養費制度は2年以内に請求申請を行いましょう。

 

高額療養費制度とは、「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」、「健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)」の加入者が、暦月(1日から月末まで)に、病院などの医療機関窓口で支払った入院費、手術費、処方箋費などの医療費自己負担額が、一定の自己負担限度額を超えて高額になった場合、その差額分を請求申請し、後で払い戻しを受けることができる制度です。

 

請求申請ができる期間は、受診した月の翌月1日から2年以内、または、通知書を受け取った日から2年以内です。

 

高額療養費は、本人の死亡後に請求することができますので、手続きや算出方法など煩雑ではありますが、故人が自己負担した医療費が高額だった場合は、留意点を確認の上、申請の手続きをしましょう。

 

◆高額療養費を申請する際に注意したいポイント◆

 

◎家族でひと月の医療費自己負担が3万円を超えた場合、高額療養費に該当するか確認する。

 

◎故人の健康保険は、申請が必要なタイプであるかどうかを確認する。

 

◎医療費の領収書は2年間保存しておくようにする。

 

高額療養費制度と申請方法についてくわしくはコチラをご覧ください。

 

 

 配偶者の死後に行う復氏届と姻族関係終了届に期限はありません。

 

復氏届とは、結婚して配偶者の姓を名乗っていた人が旧姓に戻ることができる手続きで、姻族関係終了届とは、配偶者の死後に継続される配偶者の血族との姻族関係を終了させる手続きです。

 

この復氏届や姻族関係終了届は、いずれも手続きに期限は設けられていません

 

配偶者の死亡届が受理された後であれば、いつでも提出が可能です。

 

しかし、「ご自身や子の名字をどうするか」という問題や、「配偶者の親族との姻族関係をどうするか」という問題などは、非常にデリケートで重要な決断ですので、後悔が残らないようにじっくり時間をかけて考えた上で手続きを行った方が良いと言えます。

 

復氏届は姓を変える以外に効力はなく、旧姓に戻っても配偶者との親族関係(義理の親子、親戚関係)はそのまま継続します。

 

もちろん、相続に影響を及ぼすこともありませんので、婚姻前の姓に戻ったことを理由に相続が受けられなくなるということはなく、遺族年金の支給資格がなくなるわけではありません。

 

これは同時に、扶養の義務や姻族としての権利も、引き続き継続されるということになります

 

配偶者の血族との姻族関係はそのまま継続されることになりますが、この姻族関係を終わりにするかどうかは、配偶者の血族の同意や了解を得ることなく、残された本人の意思で自由に決めることができます。

 

なお、姻族関係終了届によって姻族関係が終了することにより、亡くなった配偶者の両親や兄弟姉妹の扶養義務などはなくなりますが、相続した配偶者の遺産を届出後に返却する必要はありません。

 

復氏届や姻族関係終了届を提出するということは、配偶者の死を乗り越えて新しい人生を歩むことができるといったメリットがあります。

 

しかし、これまで築いてきた親族関係が無くなることで、将来において援助や手助けなどの支援が必要となった時に、頼る人間関係を失ってしまうというデメリットも持ち合わせています。

 

「復氏届」や「姻族関係終了届」は、いずれも残された方の意思で自由に決めることができますが、手続きを行った後のメリットやデメリットを十分考慮した上で、必要な手続きを行うようにしましょう。

 

復氏届と姻族関係終了届の違いや手続きの方法について、くわしくはコチラをご覧ください。

 

 

家族が亡くなった時に必要な手続きについて、くわしくはコチラもあわせてご覧ください。