若年者から高齢者層まで増え続けるパソコンやスマホの利用者数と、同時に増加している「デジタル遺品」。
あなたはプライバシーが詰まったデジタル遺品を遺すことに不安はありませんか?
最近話題の「デジタル遺品」がどんなモノか知っていますか?
電車で周りを見渡すとほとんどの人がスマートフォン(以下、スマホ)を触っているのが「日常のありふれた光景」となっているように、約20年の間に社会のデジタル化は目まぐるしい勢いで進んでいます。
デジタル化が進む一方、持ち主が亡くなることでスマホなどが「デジタル遺品」となるケースも増えていきます。
その多くが目に見えないカタチでありながらも、膨大な個人情報を含んでいる「デジタル遺品」。
安心して遺すためにはどうすればいいのでしょうか・・・?
故人が生前使用していた「カタチのある物」を整理・供養する遺品整理。
様々なものがデジタル化されている近年において、遺族が整理することになる遺品は「目に見える物」だけではありません。
多くの人が活用しているパソコン・スマホといったデジタル機器や、クラウドサービスなどを通じてインターネット上に保存した写真などのデータは、持ち主が亡くなるとカタチのない遺品となり、従来の遺品と同様、残された遺族が管理・整理することになります。
持ち主が亡くなり、遺品となったデジタル機器やデータ、インターネット上の登録情報などは「デジタル遺品」と呼ばれ、これらを整理することを「デジタル遺品整理」と言います。
時代の変化に伴い社会のIT化が進む今、デジタル機器やデータも様々なカタチで私たちの日常に溶け込み、身近なものとして存在しています。
便利なツールであることからその利用者は増加傾向にありますが、誰でも簡単に活用できる一方、デリケートで個人的な要素を含んでいるものがほとんどで、トラブルに繋がる危険性も持ち合わせています。
しかし、その特有のリスクを日頃から意識している方が少ないのも現状です。
持ち主が亡くなり、残されたデジタル遺品が持っている情報には、故人や友人の電話番号・住所・メールアドレスだけではなく、ネットショッピングで利用したクレジットカードの履歴や、ネットバンクの情報、FXの取引状況やパソコンで作成した確定申告書など、利用状況に合わせてその種類も多岐にわたります。
利用者本人でも管理が難しいデジタル機器やデータを、デジタル遺品というカタチで突如引き継ぎ、整理・管理することになった遺族が抱える不安や負担の大きさは計り知れません。
適切な扱い方がわからないため、ハードディスクのデータを消去しないまま売却したり、パスワードがわからないからそのままリサイクルショップ売る、誰も使わないからゴミと一緒にDVDレコーダーを廃棄処分したなどの方法で遺品整理を終えた後、後日、遺族のもとへ思いもよらぬトラブルが飛び込んでくるなど、比較的高いリスクを持っているのがデジタル遺品でもあるのです。
デジタル遺品として残されるものがどのように存在し、どのような種類があるのか、またそれらを整理する最適な方法を知っておくことはトラブルを未然に防ぐ最大の対策になります。
これからの時代に避けることができないデジタル遺品。
遺し方と扱い方を知っておくことを、現代社会に生きる者の常識に変えていきませんか?
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あなたの身の回りにある「デジタル遺品」とは
テレビや新聞、雑誌などのメディアで取り上げられることも増え、「デジタル遺品」という言葉を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
では、具体的に「デジタル遺品」にはどのような種類があるのでしょうか。
「デジタル遺品」と聞いて思い浮かぶのは、「亡くなった方が遺したパソコンやスマホ、そしてその中に保存されたデータ」ではないでしょうか。
そのため、SNSやブログを頻繁に利用する若者と異なり、インターネットとは縁遠い生活をしている高齢者や、ネットショッピングやFXなど金銭に関わる利用もないという方は、デジタル遺品とは無関係だと思っている場合が多いようです。
しかし、デジタル遺品はパソコンやスマホ、タブレットなど通信機能を主とする機器だけではなく、デジタルカメラやBlu-ray・DVDレコーダー、スキャナーなど身近に存在しているものも含まれます。
デジタル機器内に保存された写真・動画データ、友人と交わしたメール文書、ウェブの閲覧履歴などのデータや登録情報はもちろん、クラウドサービスやウェブサービスを利用している場合には、インターネット上に保管されているデータも存在しており、これもまたデジタル遺品として持ち主が亡くなった後も残されることになります。
従来の遺品(家具・家電用品・愛用品など)のようにカタチあるものと異なり、デジタル遺品はカタチのない遺品であることが多いため、亡くなった方が家族に存在を知らせていなければ、もしくは、遺族の中でデジタルに明るい方がいなければ、デリケートな個人情報を永久的に世の中に放置してしまう恐れもあります。
平成29年現在、全年代でのスマホの利用率は78%と多く、また年々増加の傾向にあり、今後さらに所有・利用率は上昇すると考えられています。
ガラケーからスマホへの移行もますます増え、一人1台の所有が当たり前の時代がやってくると、自分は「デジタル遺品と無関係」ということは無くなってきます。
「旅行や子供の入学式、孫のお宮参りなど思い出の写真はデジタルカメラに撮り溜めている。」
「大好きなテレビ番組はDVDレコーダーにデータ録画して残している。」
「iPodやウォークマンは通学や通勤時間の必需品。」
「ツイッターやフェイスブックで趣味を通して知り合ったオンライン上だけの交友関係がある。」
「ネットを通じて知らない人と協力し合いオンラインゲームを楽しんでいる。」
このように、デジタル機器内にデータ保存できるものや、インターネット上に登録している情報は多種多様にあり、その便宜性の高さから手軽に取り入れていることが多くあります。
これからの時代、デジタルデータは生きていく上でかけがえのない「財産」のひとつとなるでしょう。
それと同時に、デジタルに慣れ親しんだ方がデジタル遺品を遺して亡くなるというケースはますます増えると考えられています。
他人事ではない!「デジタル遺品」から生じるトラブルの危険性
持ち主が亡くなったあと遺族に残されるデジタル遺品。
生活の必需品として多様化するデジタル機器を駆使すると同時に、「デジタル遺品が招くトラブル」も知っておく必要があります。
パソコンやスマホ、タブレットなどの中には画像や動画、書き留めた日記などの文章、集めたイラスト、音楽データなど様々なデータが保存されています。
それらのほとんどが単なる故人の趣味のものだけであれば、家族を巻き込むトラブルに繋がることも少ないでしょう。
しかし、故人が家族の誰にも知らせず隠しておいた浮気の秘密や、借金などマイナスの遺産に関わる情報があったとしたら・・・
自分が亡くなった後、「デジタル遺品」によって家族を傷つけてしまったり、困惑させてしまうような事態は避けなければなりません。
反対に、「デジタル遺品」に気づかなかったことで、相続の対象になるネットバンクの預貯金などプラスの遺産を見過ごしてしまい、後日親族間の相続争いに発展する可能性もあります。
インターネット上に存在するネットバンクは、実店舗が無く、通帳が発行されないサービスも多いですし、ネット経由の支出は第三者から見えにくいため存在に気づくことも難しく、どんなに資産価値がある財産であったとしても放置されてしまうことは少なくありません。
FXや株などの証券取引も、ネットバンクと同様、遺族が存在を知らないことが多い遺産のひとつです。
ハイリスク・ハイリターンということもあって家族に秘密にしている方も多いことから、為替の変動によって負債が膨れ上がり、遺族が気づいた時には膨大な損害が出ていたなんていうこともあります。
このように、デジタル遺品が適切な方法で残されていなかったり、遺族に整理してもらえないような場合には、個人情報の流出によるトラブルや思わぬ損失の拡大など、大切な家族に思わぬ迷惑をかけてしまう可能性が考えられます。
扱い方を間違えると大きなリスクを背負う可能性があるという点でも、デジタル遺品に注目が集まっている背景といえるでしょう。
最悪の事態を未然に防ぐためにも、「デジタル生前整理」がこれからの時代に重要視されている要因でもあります。
「デジタル遺品」にはどんな種類がある?
遺産相続に影響する重要なデータ、趣味のデータ、誰にも見られたくない秘密のデータ・・・。
通帳や証券・証書、貴金属など故人が残す目に見える遺品とは違い、デジタル遺品は目に見えないものが多く、遺族が気づきにくい存在です。
デジタル機器の中やインターネット上に隠れてしまわないよう、デジタル遺品にはどのような種類があるのかこちらで確認しておきましょう。
1、デジタル機器内のデジタル遺品
- 外付けハードディスク、CD-R、USBメモリー、SDカード内データ
- デジタルカメラ内の写真・動画データ
- デジタルビデオカメラ内の動画・静止画データ
- iPod、ウォークマンなどポータブルオーディオプレイヤー内データ
- デジタルスキャン機内データ
2、パソコン・スマホ・タブレット・携帯電話内のデジタル遺品
- 写真、動画、音楽データ
- メール文書データ
- 日記、カレンダー等の記録データ
- 機密情報
- 知人などのアドレスデータ
- Excel、Wordなどのソフトウェアで作成された資料データ
- クレジットカード情報
- インターネットの閲覧履歴
- アプリ内データ(課金サービス履歴など)
3、オンライン上の遺品
- インターネットバンキング・ネット銀行(楽天銀行、ジャパンネット銀行、じぶん銀行など)
- SNSのアカウント(Twitter、Instagram、Facebook、mixiなど)
- オンラインゲームのアカウント
- FX口座のアカウント
- ブログ(Ameba、Tumblrなど)やホームページ
- オンラインサービスの会員アカウント情報(ネットショッピング、オンラインゲームなど)
- クラウドサービス(Google Gmail、Microsoft、iCloudなど)
ここまで記述したデジタル遺品の種類は、あくまでも一例に過ぎません。
生活必需品の様々な物がデジタル化し、便宜性が高まっている現代において、デジタル遺品の種類はこれからも増え続けると考えられます。
デジタル機器やインターネットを一切使わずに生活するのが難しい時代であるからこそ、若年者や高齢者など年齢に関係なく、日頃からデジタル機器やデータの整理整頓をしておきたいですね。
自分と家族のために心がけたい「デジタル遺品」の整理整頓
生前の大切な情報やデータを、人々はパスワードや暗号化で守ろうとします。
しかし、その持ち主が亡くなった後、デジタル機器やデータは「デジタル遺品」となり、引き継いで守らなければならないのは「残された遺族」です。
デジタル遺品に関するデータやパスワードなどの情報は、遺族に分かりやすいよう一覧化して紙に残しておきましょう。
多岐にわたる様々なデジタル機器やデータを生前に整理整頓し、自分がいなくても家族が困ることのないよう日頃から準備しておくことは、デジタル社会に生きる私たちの責任でもあるでのはないでしょうか。
パソコンやクラウドサービス内のデータを、どんなにわかり易く整理整頓していたとしても、持ち主が情報の漏えいを防止するためにパスワードを設定していたら、家族はその中身を知ることができません。
これでは、伝えたい財産のことも知っておいてほしい情報なども伝わりませんので、そのまま放置されても仕方がありませんよね。
「デジタル遺品」を整理整頓するということは、遺書やエンディングノートの準備と同様に、遺族が目に見えるカタチにしておくことが最も重要であると言えます。
こちらで、正しいデジタル生前整理の方法もしっかり確認しておきましょう。
デジタル生前整理の方法 |
・現在使用しているデジタル機器やメディアなどの利用一覧を作成する ・使用しているパソコンやスマホなどのロックパスワード一覧を作成する ・登録しているSNSやブログなどのID・パスワード・URL情報を一覧にしておく ・インターネットバンキングの口座情報や、証券会社の連絡先と運用情報を一覧にしておく ・有料で利用しているサービスに関する、退会や解約に必要な情報一覧を作成する ・その他、デジタル機器やデータの処分方法など家族に伝えたいことなどを書き添えておく |
デジタル生前整理で最も大事なポイントは、IDやパスワードなど重要な情報はパソコンにファイル保存せず、紙にしてカタチに残すことです。
デジタルの情報をアナログな手段で残すというとは、意外な方法かもしれませんが、パスワードが解除できなかったり、機器そのものが壊れてしまったという場合などに、最も的確で有効的な保管方法となります。
さあ皆さん、今からでも遅くありません。
家族のためにも、自分自身のプライバシーを守るためにも、デジタル遺品となり得るものは普段からマメに整理しておきましょう。
デジタル遺品を引き継いだ遺族も、亡くなった方の個人情報の漏洩や悪用されることが無いよう、しっかり守っていくことが故人への思いやりです。
ご遺族がデジタルに明るくなく、デジタル遺品の扱いが困難という場合には、デジタル遺品の専門家に任せるのもひとつの方法です。
データの取出しや移行作業、インターネット登録情報の管理など、専門知識が必要な場合には、通常の遺品整理とまとめて依頼できるデジタル遺品整理のマレリークにご相談ください。