年金制度の中には、残された遺族に対して支払われる遺族年金というものがあります。
亡くなった方がどのような年金に加入していたかにより支給額も変わり、受け取ることのできる遺族にも一定の要件があります。
公的年金制度の種類や受給資格などの基本を知っておこう!
公的年金制度とは、様々な要因によって自立した生活が困難になり得るリスクに対して備えるためのしくみです。
国が主体となって行う社会保障制度の一環として、日本国内に住所のあるすべての人が加入を義務づけられています。
加入する公的年金は「国民年金」「厚生年金」「共済年金」の3種類に分けられており、どの年金に加入するかは働き方によって決まります。
◎自営業者など国民年金のみに加入している人(第1号被保険者)・・・毎月定額の保険料を自分で納めます。
◎会社員や公務員で厚生年金や共済年金に加入している人(第2号被保険者)・・・毎月定率の保険料を折半で負担し、保険料は毎月の給料から天引きされます。
◎厚生年金や共済年金の加入者に扶養されている配偶者(第3号被保険者)・・・厚生年金制度などで保険料を負担しているため、個人としては保険料を負担する必要はありません。
給付される年金の種類は「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類あります。
◎老齢になった場合・・・老齢年金(老齢基礎年金、もしくは老齢厚生年金)
◎病気やけがで障害を有することになった場合・・・障害年金(障害基礎年金、もしくは障害厚生年金)
◎年金受給者または被保険者(加入者)が死亡した場合・・・遺族年金(遺族基礎年金、もしくは遺族厚生年金)
公的年金は、保険料を納めていることが年金を受け取る条件の1つになりますので、保険料未納の場合には、障害を負ったときや年をとったときに年金を全く受け取れなくなるという恐れがあります。
所得が低いなど経済的な理由で保険料を納めることが難しいという場合は、手続を行うことにより保険料の納付免除や納付猶予の制度を利用することができ、保険料をすべて払っていない場合でも年金を受け取ることができますので、保険料の未納はないようにしましょう。
老後には全ての人が老齢基礎年金を、厚生年金などに加入していた人はそれに加えて老齢厚生年金などを受け取ることができます。
国民年金または厚生年金(共済)の被保険者が亡くなったときに、残された遺族に対して支給されるのが遺族年金です。
亡くなった方によって生計を維持されていた遺族にとって、暮らしの支えとなる遺族年金は故人が加入していた年金の種類により支払われる額も変わります。
自分が受給資格を持っているのかどうかなどきちんと知っておきましょう。
年金関係で遺族が行う手続きは大きく分けて2つあります。
◆年金の受給停止と未支給の年金受給◆
亡くなった方が年金を受給していた場合の「年金の受給停止」と「未支給の年金受給」手続です。
年金を受けている方が亡くなると年金を受給する権利を失うことになりますので、年金受給者死亡届(報告書)を提出し、年金の受給を停止する必要があります。
たとえ故意ではなくうっかりしていたという理由であっても、早急に死亡を届け出なければ不正受給となり、後々問題になりますので注意しなければなりません。
また、年金を受給していた人が受け取るべき年金を受給せずに死亡した場合は、生計を同一にしていた遺族が未受給分を受け取ることができます。
ただし、受給者の死亡にともない自動的に遺族に支給されるわけではなく、未支給年金の請求手続を行う必要がありますので注意しましょう。
◆加入・受給していた年金の確認と遺族年金の請求手続き◆
亡くなった方が加入・受給していた年金の種類や保険料を納めた期間を確認し、遺族がどのような年金や一時金が受給できるかを知り請求するという手続きです。
遺族が受給できる年金で主なものは「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、亡くなった方が加入・受給していた年金の種類や納付期間によって、受給できる金額が変わります。
◎亡くなった人が国民年金の加入者であった場合・・・要件を満たせば「遺族基礎年金」が受給できます。
◎亡くなった人が厚生年金・共済年金の加入者であった場合・・・要件を満たせば「遺族厚生年金」が受給できます。
◆死亡一時金を受けられるとき◆
死亡一時金とは、国民年金の保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金・障害基礎年金の両方とも受け取らないまま亡くなったときに、生計を同じくしていた遺族へ支払われます。
死亡一時金の手続は、国民年金の加入者が死亡した日から2年以内に行う必要があります。
支給される金額は、納付済み期間によって違いますので確認をしておきましょう。
遺族年金を受け取るために必要な遺族の受給資格要件とは?
遺族年金は、遺族だからと無条件に支給されるわけではありません。
遺族も遺族年金を受け取るための権利(受給資格要件)が定められていますのでそれらを確認しておきましょう。
まず、法律上で遺族年金を受け取ることのできる方は「生計維持関係にあった遺族」ということが原則となっています。
たとえ配偶者と子が遺族として残されていたとしても、亡くなった方の収入に全く頼らず生活をしていた場合は、生計維持関係にあったとは認められません。
遺族の範囲は、国民年金(基礎年金)と厚生年金で差があります。
◎遺族基礎年金・・・子のある配偶者、または子(18歳到達年度の3月31日を経過していない子ども、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子ども)
◎遺族厚生年金・・・配偶者または子、父母、孫、祖父母。子、孫についてはすべての制度で18歳年度末(一定の障害の状態にある子、孫は20歳まで)という年齢制限が付いています。
配偶者については、婚姻関係がなくても事実上の婚姻関係と同一にあるものと認められれば権利が発生します。
支給要件や遺族要件に該当した場合でも、年金は5年、一時金は2年の時効があり、請求期間を過ぎると受け取れなくなります。
ご家族が亡くなると、遺族はいろいろな手続などを行わなければならないため思っている以上に時間も労力も必要となります。
どのような年金に加入しているか、いくらくらい支給されるのかを元気なうちに話し合い、把握しておくことが大切です。
年金制度は細かい条件や、法改正などで変更がある場合がありますので、実際の支給条件や金額、また不明な点については最寄りの年金事務所や年金ダイヤルでご確認ください。
亡くなった方が公務員だった場合は、所属する共済組合へお問い合わせください。
◆ねんきんダイヤル(一時的な年金相談に関する問い合わせ先)◆
0570-05-1165(ナビダイヤル)
03-6700-1165(050から始まる電話でおかけになる場合)
※間違い電話が発生しておりますので、おかけ間違いのないようご注意ください。
遺族年金の基本についてこちらでもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
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