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寡婦年金と死亡一時金が受けられるのはどういうケース? 遺族が行う手続きガイド⑩

生活の柱であったご家族を亡くされたとき、残された遺族が路頭に迷わないために支給されるのが遺族年金です。

 

しかし、遺族基礎年金を受け取るための要件を満たさない人はどうすればよいのでしょうか。

 

遺族基礎年金以外にも受けられる給付金があります!

 

遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が死亡したときに、亡くなった被保険者によって生計維持されていた「子がある配偶者」または「子」が受け取ることができる遺族年金です。

 

しかし、配偶者が死亡した当時、一定の要件に該当する子がいない場合は、夫や妻であっても遺族基礎年金を受け取ることができません。

 

また、子がいた場合でも、年金法上での「子」は18歳年度末までとなっているため、子が18歳年度末を迎えると遺族基礎年金の支給は打ち切りとなります。

 

遺族基礎年金の受給要件に該当しなかった場合でも、高齢寡婦に対する所得補償や、納付した保険料が掛け捨てにならないように支給されるのが「寡婦年金」と「死亡一時金」という給付制度です。

 

この「寡婦年金」と「死亡一時金」は、ひとりが同時に両方の受給要件に該当する場合、どちらか一方を選択し、受け取ることができます。(どちらも選択しなかった場合は両方の受給権を失います。)

 

※寡婦(かふ)とは、夫とし部した後も再婚せずにいる女性(未亡人)のことをいいます。

 

 

◆寡婦年金はどういう人が受けることができるの?◆

 

寡婦年金とは、死亡した夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になる前までの5年間支給される有期年金です。

 

自営業者などの妻の場合、「遺族厚生年金」や「中高齢寡婦加算」がないという方がほとんどです。

 

その代わりとして位置付けられているのが「寡婦年金」であり、妻が老齢基礎年金の受給できる年齢までの繋ぎとなりまます。

 

そのため、妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されません。

 

寡婦年金を受給するためには、死亡時の夫も要件を満たしている必要があります。

 

①死亡した夫が国民保険の第1号被保険者として保険料を納めた期間が10年以上

②死亡した夫が老齢基礎年金を受けたことがない

③死亡した夫が障害基礎年金の受給権を有したことがない。

 

寡婦年金は、亡くなった夫がい払った国民年金保険料の掛け捨てを防止することが目的です。

 

保険料納付要件の10年に厚生年金の加入期間を算出することはできませんので注意しましょう。

 

また、寡婦年金を受ける権利は、死亡日の翌日から(権利が発生してから)5年を経過したときは、時効によって消滅しますので注意しましょう。

 

平成26年4月から「子のある夫」も遺族基礎年金を受ける資格を得ることになりましたが、死亡した妻の夫には寡婦年金やそれに類する給付はありません。

 

◆死亡一時金は、遺族基礎年金を受け取ることができない遺族に支給されます◆

 

死亡一時金とは、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなった場合、遺族に支払われる給付です。(年金ではありません)

 

寡婦年金と同様に、遺族基礎年金を受け取ることができない遺族に対して支払われる給付制度です。

 

支給されるのは妻に限らず、亡くなった方と生計を同一にしていた遺族で、配偶者、子、父母、孫、祖父、兄弟姉妹の優先順位の高い方から受け取ることができます。

 

死亡一時金を受ける権利は、死亡日の翌日から2年を経過すると時効となり、請求することができなくなりますので注意しましょう。

 

 

寡婦年金と死亡一時金、選択するなら得をするのはどちらでしょうか

 

寡婦年金と死亡一時金、同時に受給できる場合には、いずれか有利な方を選択して受給することになります。

 

死亡一時金の額は、保険料の納付済み期間によって差はありますが、12万~32万円の額を一回のみ受給することができます。

 

毎月の保険料と付加保険料(毎月400円を別納)を3年以上納めた人が死亡した場合は、8,500円が死亡一時金にプラスされます。

 

死亡一時金の受給額(一括)は下記を参考にしてください。

 

36月以上180月未満・・・120,000円

180月以上240月未満・・・14,5000円

240月以上300月未満・・・145,200円

300月以上360月未満・・・220,000円

360月以上420月未満・・・270,000円

420月以上・・・320,000円

 

一方、寡婦年金の額は、夫が60歳から65歳までに受け取ることができたであろう、老齢基礎年金の受給額の4分の3、約44万円が支給されることになります。

 

例えば、亡くなった夫が保険料を30年間納めていたのであれば、老齢基礎年金の計算方法から受給額の4分の3、約44万円が支給されることになります。

 

この場合、寡婦年金・死亡一時金のどちらも受給できる条件を満たしているのであれば、寡婦年金をもらうほうが得であると考えられます。

 

しかし、受け取る側である妻が自身の老齢基礎年金を繰上げ受給していないことが条件となります。

 

老齢基礎年金を繰上げ受給しながら寡婦年金はもらえないことになっていますので、注意が必要です。

 

本来の通り、65歳から老齢基礎年金を受給している場合には問題ありません。

 

また、妻が自分自身の老齢厚生年金を60歳から受け取ることができる場合は、自身の老齢厚生年金もしくは寡婦年金のいずれかを選択することになりす。

 

このケースでは、老齢厚生年金の額と、寡婦年金の額を比べて、高い額を選択し、受け取ることが得であると言えます。

 

◆寡婦年金や死亡一時金の請求方法◆

 

請求に必要な書類「国民年金寡婦年金裁定請求書」や「死亡一時金裁定請求書」については、日本年金機構のホームページよりダウンロードすることができます。

 

また住所地の市区町村役場、年金事務所や年金相談センターの窓口にも備え付けてあります。

 

請求書の提出に添付する必要書類は下記のようなものになります。

 

・亡くなった方の年金手帳、もしくは基礎年金通知書

・亡くなった方と請求者の身分関係を明らかにすることができる戸籍謄本(記載事項証明書)

・亡くなった方との生計同一関係を確認できる請求者の世帯全員の住民票の写しなど

・受取先金融機関の通帳(本人名義)

・印鑑

 

市区町村や請求する人により、必要な添付書類は異なることがありますので、あらかじめ提出先となる各窓口に確認しておくとスムーズに手続が行えます。