ケーススタディー
相続手続の相談ができる専門家を選ぶ方法 遺族が行う手続きガイド⑬
相続の手続を進めていく中で、様々な事情により相続人だけでは話を進めることができなくなる場合があります。
定められた期限を過ぎてしまうと不利益が生じてしまうものもありますので、問題に応じた専門家に相談し、滞りなく相続手続を行いましょう。
相談内容に応じた相続問題の専門家を選びましょう
専門家といっても様々な種類があり、それぞれにたくさんの専門家がいます。
相談する内容に合わせて必要な相続に関する専門家を覚えておきましょう。
◎遺産分割がまとまらない場合・・・弁護士
◎相続人との間で争いになっている場合・・・弁護士
◎不動産の名義変更手続を任せたい場合・・・司法書士
◎車などの名義変更手続を任せたい場合・・・行政書士
◎相続税申告を任せたい場合・・・税理士
主な困りごとが明確なのであれば、まずはそれを専門的に扱っている先生の中から信頼できる方を探し、相談することをおすすめします。
知人の紹介やインターネットなどで専門家を探し、実際に会って相談してみて、費用面なども確認し、信頼できるかどうか見極めましょう。
相続手続を数多く取り扱っている専門家であれば、他の専門家の関与が必要になった場合でも、その専門家から信頼できる専門家を紹介してもらうこともできます。
難しい手続は専門家に任せることになっても、自分たちでできることは行うなど、相談する側もある程度の知識は持っていたいものです。
金融機関の相続手続きについてはこちらをご覧ください。
不動産の名義変更をする場合、名義変更の登記申請をします
不動産を所有している方が死亡したときは相続の手続が必要になります。
換価するなどの理由で売却する場合でも、いったん亡くなった方の名義から相続人の名義に変更する必要があります。
不動産の名義変更を行うには、必要書類と合わせて不動産を管轄する法務局に登記申請書を提出します。
不動産を誰が引き継ぐかは、法定相続人全員で決めるようにしましょう。
なお、遺言があるときは、原則として遺言の内容に従います。
相続人の1人の名義にするなど、特定の方が不動産を引き継ぐ場合には、遺産分割協議書を作成します。
管轄の法務局に所有権移転登記内申請書を提出します。
申請書の他に必要な書類は、遺言の有無などによって異なりますので、事前に電話などで確認しておきましょう。
相続人以外の者に「相続させる」「遺贈する」といった旨の遺言が残されている場合は、相続による所有権移転登記ではなく、寄贈による所有権移転登記を行います。
申請から登録完了まではおおよそ1~2週間程かかります。
登録が完了すると登記識別情報通知が発行されます。
◆団体信用生命保険に加入していた場合◆
不動産購入時に住宅ローンを組んだ場合、団体信用生命保険(通称、団信)に加入されていることが多いでしょう。
団体信用生命保険(以下、団信)とは、住宅ローンを組んだ方が死亡または所定の高度障害状態になられたときに、保険会社から金融機関へローン残高と同額が支払われることになり、以後のローン債務が全額免除され、ローンが完済となる仕組みです。
団信によってローンが完済した場合、抵当権を設定していた金融機関から「抵当権抹消登記」に必要な書類が一式(解除証書、登記済証または登記識別情報、委任状、代表者事項証明書など)渡されるのが一般的な流れとなっています。
名義変更登記と併せて不動産に登記されている金融機関などの抵当権を抹消する手続をしましましょう。
自動車を相続するための手続を確認しましょう
自動車の相続手続も不動産の相続手続と同じように、売却や廃車にする場合でもいったん亡くなったか方から相続人が自動車を引き継ぐ必要があります。
ナンバープレートを交付している管轄の陸運局へ移転登録申請書を提出します。
申請書の他にも手数料納付書、自動車税申告書、遺産分割協議書、戸籍謄本、自動車検査証、自動車保管場所証明書(車庫証明書)などを併せて提出する必要があります。
通常、申請書・手数料納付書・自動車税申告は、陸運局の窓口で受け取ることができます。
自転車・原付・小型二輪車も相続の対象になります。
金銭的に価値のあるものについては、遺産分割協議を行った上で協議書に記載しましょう。
原付の場合は、市区町村役場にて廃車手続を行い、手続きが完了したら相続人名義での登録手続きをします。
小型二輪車の廃車手続と相続人名義で登録手続を行う場合は、ナンバーを管轄する陸運局で申請手続を行います。
株式など有価証券の相続で必要な手続き
最近では、投資に対する意識や関心の高まりから、株式などの有価証券を保有されている方も増えています。
基本的には銀行などで行う相続の手続と似た流れではありますが、証券会社を通して管理している場合は特有の手続が必要となることもありますので確認する必要があります。
まずは取引をしていた証券会社や信託銀行へ相続に関する手続きの確認と取引資料の請求を行い、取引残高報告書(評価証明書)を発行してもらいましょう。
この取引残高報告書は、被相続人が「どの会社の株式」を「どの程度保有しているのか」が記載されている明細書のようなものです。
故人が保有していた株式を売却したい場合においても、基本的には故人名義の口座に存在する株式を一旦、相続人の口座に移管する手続を行う必要があります。
法定相続人が2人以上いる場合は、同意書や遺産分割協議書が必要になります。
また、株式は売却すると税金が発生しますので注意しましょう。
◆証券会社を通していない場合や、自社株を保有していた場合◆
証券会社を通していない会社の株式などの有価証券(株券)を保有していると思われる場合は、発行している会社に手続きの方法について直接確認をしてみましょう。
故人が自ら経営する会社の自社株を保有していた場合でも、会社規模の大小に関係なく株式に関する所定の手続きが必要となりますので、会社関係者に連絡しましょう。
事業承継や清算には帆立面、税務面など専門的な知識が求められるので、なるべく早期に会社の顧問税理士などに連絡した方がよいでしょう。
遺産整理業務を行う金融機関もあります
ここまでご紹介した相続における名義変更手続き以外にも、ゴルフの会員権や死亡退職金などを相続するためには、ケースバイケースで様々な手続が必要になります。
最近は、銀行や信託銀行などの金融機関が「遺産整理業務」に力を入れるようになりました。
金融機関が取りまとめ役として遺産整理業務を遂行してくれるので、安心感を得ることができるのは大きなポイントです。
金融機関に遺産整理業務を行ってもらう場合、基本的に「遺産総額の〇%(最低〇万円)」というように決めらた報酬を支払うことになります。
なお、不動産の名義変更手続で司法書士にかかる費用や、相続税の申告手続で税理士にかかる費用は、金融機関に支払う報酬とは別に支払わなければなりませんので注意しましょう。
金融機関に遺産整理業務を依頼する場合のメリットとデメリットをよく確認した上で、依頼するかどうかを判断するようにしましょう。
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